『家畜人ヤプー』は「戦後最大の奇書」どおりの小説
『家畜人ヤプー〈第1巻〉 (幻冬舎アウトロー文庫) / 沼 正三』
- 作者: 沼正三
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 1999/07/01
- メディア: 文庫
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あらすじ
説明
https://www.amazon.co.jp/家畜人ヤプー〈第1巻〉-幻冬舎アウトロー文庫-沼-正三/dp/4877287817/ref=mp_s_a_1_1?__mk_ja_JP=カタカナ&qid=1529218658&sr=8-1&pi=AC_SX236_SY340_QL65&keywords=家畜人ヤプー&dpPl=1&dpID=51FnQAS+TtL&ref=plSrch#productDescription_secondary_view_div_1529218681549
内容紹介
日本人が「ヤプー」と呼ばれ、白人の家畜にされている二千年後の未来に彷徨いこんだ麟一郎と恋人クララが見たのは__。三島由紀夫、澁澤龍彦らが絶賛した「戦後最大の奇書」最終決定版。
内容(「BOOK」データベースより)
ある夏の午後、ドイツに留学中の瀬部麟一郎と恋人クララの前に突如、奇妙な円盤艇が現れた。中にはポーリーンと名乗る美しき白人女性が一人。二千年後の世界から来たという彼女が語る未来では、日本人が「ヤプー」と呼ばれ、白人の家畜にされているというのだが…。
感想
どんな思考に触れてきたら、こんな物語が思いつくのだろう? 未来帝国EHSは白色人種の人間、黒色人種の黒奴、日本人のヤプーという人種に分かれた国家である。黒奴を奴隷とし、ヤプーは家畜や家具として使っているなど、設定がすさまじい。女権主義である点やヤプーは白色人種に飼育されているといった発想など「戦後最大の奇書」という言葉通り。「白人至上主義」や「フェミニズム」に対する風刺とも感じた。
家畜人ヤプーが最初に発表されたのが、1957年。宇宙帝国「イース」や完全女権制度、人が家畜にされている構想など凄まじい……! → https://t.co/WF8yCR2tYm #bookmeter
— 長岡紅蓮 (@nagaokaguren) November 16, 2017
戦後最大の奇書
こんにちは、大関(@nagaokaguren)です。
前々から気になっていた
『家畜人ヤプー〈第1巻〉 (幻冬舎アウトロー文庫) / 沼 正三』を読みました。
ところで、あなたは日本三大奇書をご存知だろうか?
- 『ドグラ・マグラ (上) (角川文庫) / 夢野 久作』『ドグラ・マグラ (下) (角川文庫) / 夢野 久作』
- 作者: 夢野久作
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 1976/10/01
- メディア: 文庫
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- 作者: 夢野久作
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 1976/10/01
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- 『黒死館殺人事件 (河出文庫) / 小栗 虫太郎』
- 作者: 小栗虫太郎
- 発売日: 2012/09/27
- メディア: Kindle版
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- 『虚無への供物 (講談社文庫) / 中井 英夫』
- 作者: 中井英夫
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1974/03
- メディア: 文庫
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上記の三小説が日本三大奇書と呼ばれています。
この中で僕は『ドグラ・マグラ』だけ読みました。
「本書を読破した者は、必ず一度は精神に異常を来たす」
と言われている曰く付きの作品。
読了してから約10年後という時間差で抑うつ症状と診断されたので、たぶんその謂れはあっている(はず)。
読むときは注意して読んでくれ……!
さて、これらの作品に負けず劣らずの小説が、『家畜人ヤプー』です。
舞台は、二千年後の地球。
宇宙帝国EHSでは白色人種、黒色人種、黄色人種がおり、白人を頂点として、黒人を奴隷とし、日本人はヤプーと呼ばれ家畜人として白人に虐げられている。なおかつ、女権制が確立され女性が政治や軍事を仕切っている。
さらには、ヤプーの人体を改造し、動物として飼育したり、家具として使ったりしているのです。
第一巻では、畜人犬(ヤップ・ドッグ)*1や肉便器(セッチン)*2などが登場する。
小説の世界観が不快感極まりない。
「これはフィクションだ」と思っていても、
本に書かれている内容を脳内で処理していくのを拒んでいる自分がいる。
これまでエログロナンセンスへの許容範囲が広いつもりだったんだけど、まだまだだと思い知らされました。
今2巻の途中まで読んでいるところ。麟一郎とクララの戸惑いや葛藤といった心情の移り変わりの様子は筆舌に尽くしがたい。
あと4巻も残っているよ、どうなることやら……(笑)。
戦後に書かれたことから、白人至上主義やフェミニズムに対するアンチテーゼと捉えると別の見方もできる。あなたは『家畜人ヤプー』の世界をどのように感じるだろうか?
読書の世界へ、いってらっしゃい!